誘惑の熱視線・4





ドーン、と雷が落ちる音がする。
「あ〜、恐かった」
アンジェリークは、その体をロザリアから離した。


今日も、例によってのお泊り会である。
「本当、雷が恐いだなんてだらしないわねぇ」
と、ロザリアがあきれた調子で言った。
「・・・もぉロザリアだって苦手なくせに。雷がなった時、ぎゅっと捕まるじゃない。だから、こうして私がロザリアのお部屋に泊りにきてあげたんだもんv」
アンジェリークがお見通しなんだから、と笑顔でそう言う。
アンジェリークも恐いので、どっちもどっちなのだが、やはり認めているだけアンジェリークの方が上である。

「そういえば、今日の昼間の雷、すっごかったよねぇ。大丈夫だった?ロザリア」
・・・・今日の昼間。
まさしく、ゼフェルに抱きついたロザリア。
図星☆である。
「あ、でも、ゼフェル様とデートだったんだから平気かぁ。私は一人で恐かったんだからぁ」
そういって、甘えたようにロザリアにぎゅっと抱きつくアンジェリーク。
女の子ゆえの柔らかい感触。
「・・・やっぱり、男の人って違いますわね」
ゼフェルとアンジェリークに抱きつかれた感覚の違いが思わず口からもれるロザリア。
当然、聞き逃してくれないアンジェリークである。
「えぇ、何かやらしいよぉ、その感想////なにかあったの?ロザリア」
アンジェリークは興味津々にそう訊く。
ロザリアは慌てて首を振る。
「まさか、何もあるはずございませんわ。あなたじゃないんだから」
「だから、その言い方ひどいってばぁ」
軽く聞き流すようで、そうできないロザリアって一々かわいいなぁ、なんて思いながらも抗議するアンジェリーク。



「じゃあさ、あのセリフは言えたの??”ゼフェル様はかっこいい”って」
アンジェリークが嬉々として尋ねる。
前回のお泊り会でのアドバイスを実行してくれたか?
気になるところである。
真っ赤になるロザリア。
「そ、そんな事、別に口にだしていうセリフじゃないですわっ」
何度も口にだそうとしたが、恥しくっていえなかったのである。
あの赤い瞳をみているだけで、金縛りにあったみたいに言葉がでてこなくなった。
さらにほんの少し、見惚れていた・・・なんて事は絶対言えない。
まぁ、最後に何とか言えたことはアンジェリークには内緒だが。
「え〜、でも、ランディ様は”俺ってかっこいい?”ってご自分から訊かれたもの。やっぱり言われたいんだよぉ。かっこいいって言ったら嬉しそうだったし」
アンジェリークが照れたように言う。
「だから、ゼフェル様とランディ様は違いますわ」
「そうね、ランディ様のそういう正直なところって、恥しいんだけどかわいいっていうか♪」
のろけモードにはいるアンジェリーク。
「まぁゼフェル様だって、素直じゃないですけど・・・・でも、素敵なところ沢山ありますわ」
思わず、ムッと返すロザリア。
「ロザリアも言う〜///やっぱり自分の彼氏をかっこいいって思うのって私だけじゃなかったのね。良かった〜」
にっこり笑うアンジェリーク。
「別に私はそんな事、思って・・・」
”ません”といつもなら言うところだが、言葉につまるロザリア。
アンジェリークは気にとめてない様子で話を続ける。
「・・・・でもゼフェル様って”かわいい”とか、そういう事は絶対言ってくれない感じだよね。・・・えへっ、実は、私この前ランディ様にね・・・」
アンジェリークのLOVELOVEトークスタート、である。
しかし、ロザリアの耳には入っていかなかった。
今日、”綺麗”と言われた事が鮮明に思い出されたのだ。
なんだか、カァ〜と急激に恥しさがこみあげる。

「もう寝ますわ」
「え〜、もう?まだお話したいことたくさんあるのに」
アンジェリークは、まだまだ眠たくないと抗議する。
しかし、電気を消して、消灯時間にするロザリア。
・・・・誰でもないゼフェルに”綺麗”と言われた嬉しさが困るくらいに、こみ上げてきていた。




スース―スー。
今日も、数分で眠りに落ちるアンジェリークの横で、ロザリアは寝付けなかった。
「でもゼフェル様・・・・・あの短気は直らないものかしら。いくら風邪をひくからって、無理やり着替えさせようとなさるなんて。一応レディなんですから。・・・・まぁそれだけお優しいってことかも知れませんけど」
そんなロザリアの、実はゼフェルがしたかった事は全然わかっていなかったという独り言を聞いていたのは、きちんとたたまれたゼフェルから借りた洋服だけだった。







★FIN★



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まいうた。様でキリバンを踏んで頂いた作品です。
”ロザリアを女性だって意識してしまうゼフェルor逆にゼフェルを男性って意識しちゃうロザリア”というリクエストをさせていただいたのですが・・・もう私大喜び!
「お前って綺麗だな・・・」と耳元で!耳元で囁くゼフェル!
一人で『絶対この声掠れてるって!セクシィー!!』と悶えました。悶えに悶えましたね。
あと!「女ってわかんねぇ〜」と笑い漏れてるところ・・・最高!
こんなに素敵な長編かつ力作をわたくしめが頂いちゃっていいのか!?と今でも不安だったりしてます。
姫香ちゃん、本当にありがとうございました!