真夜中。
少女たちはおしゃべりする。
楽しかった一日の事。
おいしいお菓子の事。
ちょっぴり真面目に未来の事。
そして、やっぱり・・・・恋の事!!
今日はアンジェリークの部屋にロザリアが泊まりにくる日。
女王試験の真っ只中。
今まで友達の家に泊まる、ましてや同じ部屋で眠るなんてロザリアは初めての事。
嬉しくって、なんとなく気恥ずかしくって、でもやっぱり楽しくて。
女の子のおしゃべりは12時の鐘がなっても止まらない!!
「それでね・・・・v」
アンジェリークが照れたように、恋人であるランディとの事を話し出す。
真夜中であるため声は抑え目。
だけど、盛り上がりは最高潮。
「・・・あなたって娘は、よくそんな恥しいことが言えますわね///」
アンジェリークの告白は、まるで宇宙人の告白みたいにロザリアは思えた。
人はそれぞれ違って、恋する形もそれぞれ。
わかってはいても、身近なカップルであるランディとアンジェリークとはつい自分達の事と比べてしまう。
・・・・・ロザリアにもゼフェルという恋人がいるのだが、とりあえずハートマークをつけて告白できるようなことはなにもない。
「え〜、だって、私だって恥しかったんだけど、あの時はランディ様が・・・・」
アンジェリークの声が一層甘く響く。
そして、小さく付け加えた。
「・・・それに、私も本当はそう思ってたしv」
「はいはい」
LOVELOVEトークに聞き耐えなったロザリアは、くるりと体をアンジェと反対の方向に向けた。
純真な箱入りお嬢様なロザリアは、実は恋愛のうんぬんという事がよくわかっていない。
だから、普通の恋人同士(と思われる)身近な2人の話を聞いていると不安になったりもする。
とくに付き合う前と何も変わらない自分達の関係って変なのかしら?と。
「ロザリアだって、ゼフェル様の事、そういう風に考えちゃうことあるでしょ!?」
アンジェリークは身を乗り出して言う。
こちらも、やっぱり友人の同意が欲しいらしい。
「べ、別に私は////」
「嘘だぁ。それじゃあ、こんな事を思っちゃうの私だけ?ロザリアは本当に全然思わないの?」
「・・・・」
ロザリア、黙秘!!
「ねぇ、ロザリアぁぁ。ロザリアってばぁ」
アンジェリークがしつこく尋ねる。
その声に弱いのはランディだけじゃなく、ロザリアもだ。
「答えてよぉ、ロザリアぁ」
「・・・だって、ゼフェル様はあなたの彼みたいにそのような事は仰りませんもの」
ロザリアは観念したかのように口を開いた。
「うぅ、それじゃあランディ様がバカみたいじゃない」
アンジェリークがぶすっとした、でもかわいい声で抗議する。
「そんな事はもうしませんわ。ただ、ゼフェル様は別にそんな事はお気になさらないと思いますの」
「え〜、ゼフェル様も口に出さなくても、絶対に内心では思ってると思うよ?ここは一つ、ロザリアの方から言ってあげたら絶対に喜ばれるわよv」
育成云々の事で、ロザリアから教えられっぱなしのアンジェリークは、ロザリアに何かをアドバイスできるという事が嬉しい。
少しお姉さんになった気分でそう言うアンジェリーク。
ロザリアは一瞬きょとんとして、あわてて首を横に振った。
「わ、私から。そんな事、いえる訳ありませんわ。あなたじゃないんだから」
「その言い方もひどいってば。でも、本当ロザリアって素直じゃないなぁ。・・・・でもそんな所も好きよv」
アンジェリークは罪のない笑顔でそう言う。
なんて返答していいのか困ったロザリアは、
「もぅ、知りませんわ!!」
と、電気を消して、無理やり消灯時間にした。
スー、スー
数分後、はやくもアンジェリークから寝息がもれる。
消灯したものの、眠れないロザリア。
「・・・・そんな事で本当にゼフェル様は喜んでくださるのかしら?」
そんなロザリアの独り言を聞いたのは、アンジェリークのぬいぐるみのくまさんだけだった。
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