鋼の守護聖ゼフェルは、彼女が嫌いだった。
 大貴族の令嬢であり、生まれながらの女王候補だと自ら堂々と言い放つ彼女。
 あらゆる賛辞に囲まれて育ったに違いない、ロザリア・デ・カタルヘナが嫌いだった。
 彼女に対して反発心を持つことは、 彼のような少年にとってはごく当然のことだろう。

 育成の依頼で執務室に訪れる時に無礼な態度を取られたことはない。
 逆に文句が付けられないほど礼儀を守っていたし、きちんとゼフェルの目を見て丁寧な言葉を使っていた。

 好かれているとは思ってはいなかったが、特別嫌われているとも思ってもいなかった。
 そして、様々な罵詈雑言にもめげず、育成を頼みに来るロザリアに対して根性だけは認めても良いと考え始めていた。
 勿論、それ以上のことは考えてはいなかったが。

 しかし、もう一方の女王候補であるアンジェリークと気晴らしに出掛けた先の森の湖。
 そこでゼフェルはロザリアの本音を知った。









next
novel  top